就業規則整備による経営力強化
労働基準法第89条により、常時10人以上の労働者を使用する事業場では必ず就業規則を作成しなければなりません。そして必ず記載しなければならない項目も法定されており、その内容は当然ながら労働基準法を初めとする労働法規や、労働協約に反するものであってはなりません。
しかし法的義務だから止むを得ず就業規則を作成する、という考え方は、いかがなものでしょうか。
労使間のルールを就業規則等の文書で定めれば、当然経営者側も拘束されますが、経営的に見てメリットもあります。
きちんとしたルールが整備されていれば、いちいち揉めたり、悩んだりしないで済む可能性が高くなります。それだけ業務が効率的に進んでいきます。
就業規則を初めとする労使間ルールの整備は、近代的経営には不可欠と言ってもよいでしょう。
さて、就業規則のあり方については、多くの社会保険労務士や経営コンサルタントが、様々な意見を述べています。それらの見解の間には、かなりの幅があります。
最近の流行としては、非常に多くのペナルティ規定を盛り込み、経営側のリスクを回避するタイプの就業規則が提案されているようです。
また、「労働者の有利になることは一切書かない」ことにより、経営側の負担を軽減しよう、という提案もあります。
こうした提案は、法律学的考え方がベースにあるのだと思われます。
例えば個人情報保護や、飲酒運転防止、セクハラ防止といった観点からは、こと細かくペナルティ規定を置き、不祥事の未然防止を図る、といったことも十分理解できますし、求められているとも言えます。
一方、経営学的に見るとどうでしょうか。
就業規則は事業主が一方的に作成するものですが、労働者代表の意見を聴くことが必要になっています。
就業規則は、労働者に周知する必要もあり、周知されない限り労働者に不利な内容は無効になるとも考えられています。
つまり、その内容は労働者に知られてしまうわけです。
となると、まるで銀行の約款のように、あまりにも経営側の都合ばかりでこと細かく書かれている就業規則は、労使間の信頼関係や、企業への貢献意欲の面からすると、マイナス面も大きいのではないでしょうか。
そこで、経営側の法的義務もしっかり書き込み、また、負担が大きくならない程度に、企業から労働者への約束事(例えば表彰制度や特別休暇)も盛り込む、といった提案もあります。
同時に、経営理念や経営戦略を、就業規則に反映させることで、日常行動レベルから経営力の強化を図る、ということも考えられます。
当事務所では、法律面(リスク回避)と経営面(経営力強化)の両方の視点から、バランスの取れた就業規則の整備をご提案します。
特に、近年、企業にとって深刻な問題と認識されつつある、情報セキュリティ対策、メンタルヘルス問題、セクハラ・パワハラ問題などに対しても、就業規則やその運用で対応する方法についても検討いたします。
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